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高病原性鳥インフルエンザ

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新型インフルエンザ対策行動計画(厚生労働省)

◆◆ 「新型インフルエンザ対策行動計画」の概要について ◆◆

平成17年11月
厚生労働省

「新型インフルエンザ対策行動計画」は、政府の新型インフルエンザ対策について、関係省庁が連携し、情報の共有を図りながら、厚生労働省が中心となって取りまとめたものである。

◆◆ 背景

 新型インフルエンザは、10年前から40年の周期で出現し、世界的に大きな流行(パンデミック)を引き起こしてきている。
近年では、東南アジアなどにおいて、高病原性鳥インフルエンザがヒトに感染し、死亡例が報告されている。また昨今では、ヨーロッパで高病原性鳥インフルエンザの発生が報告されるなど、その拡大が見られる状況であり、突然変異による、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの発生の危険性が高まっている。

 このため、WHO世界インフルエンザ事前対策計画(2005年5月)に準じて、我が国の「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定し、迅速かつ確実な対策を講ずるものとする。

鳥インフルエンザと新型インフルエンザの関係

◆◆ 概要

1. 流行規模の推計

  米国の疾病管理センターの推計モデル(FluAid2.0)に、我が国の状況を当てはめて推計した。その結果、我が国の場合は、全人口の25%が新型インフルエンザに罹患すると想定した場合に医療機関を受診する患者数は、約1,300万人〜約2,500万人(中間値約1,700万人)と推計される。

2.新型インフルエンザ対策の推進体制

  政府一体となった取組を推進するために「鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議」を設置するとともに、厚生労働省では、大臣を本部長とする対策推進本部を設置したところであり、こうした推進体制の下で、地方自治体、関係機関(医療機関等)、国民の協力の下に総合的な対策を推進する。

3.行動計画

  WHO世界インフルエンザ事前対策計画において定められている6フェーズ(段階)を、さらに、「国内非発生」と「国内発生」に分類し、それぞれについて「計画と連携」、「サーベイランス」、「予防と封じ込め」、「医療」、「情報提供・共有」の5分野にわたって講ずべき具体的な対策を策定した。

フェーズ1、フェーズ2(トリ−トリ)
  トリインフルエンザウイルスのヒトへの感染が見られない。
フェーズ3(トリ−ヒト)
  トリインフルエンザウイルスのヒトへの感染が見られるが、ヒト−ひと感染による拡大は見られない、あるいは、非常にまれな感染が見られる(家族内など密接な接触者)。
フェーズ4、フェーズ5(ヒト−ヒト)
  ヒト−ヒト感染が見られるが、限定された集団(クラスター)内の発生にとどまっている。
フェーズ6(パンデミック)
  一般のヒト社会の中で感染が増加し、持続している。

 

4.行動計画の主な内容

 フェーズ3A(国内非発生) 
  • 政府の新型インフルエンザ対策行動計画を策定する。
  • 海外渡航者に対する注意喚起を行う。
  • 国内飼育家きんの高病原性鳥インフルエンザの発生防止対策の徹底、農場の従事者等に対する感染防御への支援、要請を行う。
  • 緊急的なワクチン接種を想定し、プロトタイプワクチン原液の製造、貯留を行うとともに、フェーズ4を想定し、パンデミックワクチン製造用の鶏卵の確保等生産に係る対応計画の検討を実施する。
  • リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)の確保すべき量を決定し、備蓄を開始する。
  • 新型インフルエンザ患者の診療・治療にあたる指定医療機関等の整備,必要な医療機材等の確保を進めるよう要請する。
  • 高病原性鳥インフルエンザについて、発生国の在留邦人、国民向けに情報提供する。

 フェーズ4A(国内非発生) 
  • ウイルスが確定次第速やかに、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」という。)に基づく指定感染症への政令指定を行う。
  • 感染がみられた集団(クラスター)を早期発見するために、学校や職場などを対象としたクラスターサーベイランスを開始する。
  • 検疫所は、発生地域からの入国者に対し、新型インフルエンザ患者の疑いがある場合には、検疫法に基づく停留を行うなど検疫を強化する。
  • 新型インフルエンザウイルス株の特定後、鶏卵などの確保ができ次第、パンデミックワクチンの生産を開始する。通常期インフルエンザワクチン生産時期の場合には、製造ラインを直ちに中断して新型に切り替えることを含め、適切に対応する。
  • 各医療機関に対して、通常のインフルエンザ患者には、原則として抗インフルエンザウイルス薬の使用を控えるよう指導する。
  • メディア等に対し、適宜、広報担当官(スポークスパーソン)から海外の発生・対応状況について情報提供する。

 フェーズ4B(国内発生) 
  • 対策推進本部長(厚生労働大臣)が国内でのヒト−ヒト感染発生について宣言し、国としての対策強化を表明する。
  • 新型インフルエンザの疑いがある患者には、感染症法に基づき、入院勧告を行い、確定診断を行う。
  • 新型インフルエンザの疑いがある患者の家族等の接触者に対しては、経過観察期間を定め、外出自粛要請、健康管理の実施及び有症時の対応を指導する。
  • 発生地域における不要不急の大規模集会や、不特定多数の者が集まる活動について、自粛を勧告する。
  • 医療機関等で患者を診療した従事者、患者との濃厚接触があり、社会機能維持に必要な者への抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を指示する。
  • 各医療機関に対して、新型インフルエンザ患者及び疑い患者以外において、原則、抗インフルエンザウイルス薬の使用をしないよう指示する。
  • プロトタイプワクチンについて、緊急的に医療従事者及び社会機能維持者を対象にワクチン接種場所に配分し、状況に応じ、接種を行う。
  • パンデミックワクチンが製造され次第、希望者への接種を開始する。

 フェーズ6B(国内発生) 
  • 厚生労働大臣が非常事態宣言(国内対策強化宣言)を行う。
  • 新型インフルエンザ患者の入院措置を緩和し、全医療機関において診断・治療を行うとともに、入院治療は重傷患者に行うこととする。
  • 新型インフルエンザ患者の疑いがあると診断された者に対して、発症48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬により治療を行う。
  • 抗インフルエンザウイルス薬による治療の優先順位を、次のとおりとする。
  1. 新型インフルエンザ入院患者の治療 
  2. 罹患している医療従事者及び社会機能維持者の治療
  3.  
  4. 罹患している医学的にハイリスク群(心疾患を有する者など)の治療
  5.  
  6. 児童、高齢者
  7.  
  8. 一般の外来患者                 等

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